月組大劇場公演「エリザベート」


月組大劇場公演「エリザベート」。2/13観劇です。

泣きました(笑)。信じられない事に。
配役を見た時からどうなるか分かっていたのに。「今更泣かんでも良いやん・・」と自分にあきれつつ。
懐かしいメロディ、鏡のセット、変わらないムード。大好きだった「最後のダンス」の場面。

けれど今、行われている現実。申し訳ないけれど、ひどいと思いました。
精一杯やっているのが分かるだけに、どうしてこんな公演を平気でやらせようとするの? この公演をやる事に、本当に歌劇団は何も感じないの? 宝塚の考えが、意識の低さが、悲しくて、情けなくて・・。
止まりませんでした。以降、一幕の間中泣いていました。そんな事なら観なければ良いのに・・、と、自分自身思いながら。

配役を知った時には、それほど悲しみも、怒りもしませんでした。ただ、呆れて笑いました。
公演も、毎公演観ているから、と、ただ義務感で、ぼんやりと観に行きました。
分かっていたのです。泣くつもりはなかったんです。
でも、自分は改めて、この作品が好きだったんだな・・と。
そして、やはり、この一線だけは越えないで欲しかったと、強く思いました。

トートの彩輝直。本当にキレイでした。ビジュアルと雰囲気は最高です。歌い出すと、「あわわ・・・後ろの黒天使チェックしよ・・」と、どうしても目をそらしてしまうので(^_^;)、じっくり観ながら考える事はできなかったのですが、妖精のような雰囲気で、それも良いな、と思いました。
衣装はどれも素敵でしたが、特にラストの白ブラウスが素晴らしく似合っていてキレイでした。本当に「エリザ」でなければ・・。あの姿を見るのが一回キリになるのは惜しいと思う位です。
一カ所、良かったのが「死は逃げ場ではない!」をハズさなかった事! そこから「愛と死の輪舞」を歌うまでのトートには、感情の動揺が見え、引き込まれました。その後の歌も聴かせてくれたら、最高なんですけれどね(^_^;)。

エリザベートの瀬奈じゅん。普段の男役がどれだけ抜群にかっこ良いか、というのは棚の上に置いておいて・・。
可愛いはないでしょう? どちらかと言うと、
男子「やーい、やーい、ぶ○ー、ぶ○ー。」(失礼すぎて書けない・・)
エリザ「なによぉ・・(泣)」
母「本当は気が優しくて良い子なのよ・・」
って感じの、いじめられっ子タイプに見えるのですが・・(^_^;)。
エリザベートにはほど遠いです。活発にも、気が強くも見えません。男役の時の瀬奈から感じる包容力そのままの、ほんわか、気の優しい女性。
「その美貌が役に立つと~♪」も見た目に違和感あるし、一幕ラストの「ただ私の人生は私のもの」に、トートを圧倒する気迫もないし、それを言い切って許せる程の気品と美貌もない。あの場面のエリザベートが我が儘に見えたのも初めての感想でした。
配役自体がお気の毒ですし、もう一度観る事もないのでどうでも良いのですが、それこそ男役ダンスの時の「俺様パワー」で、トートを蹴り倒す位の勢いで暴れてくれた方が、瀬奈らしいエリザベートで面白かったのではないでしょうか。性格の謙虚さが、裏目に出ていると思います。彩輝のサヨナラですしね・・無茶はできない気持ちは良く分かるのですが・・。
見た目では、「私が踊る時」のブルー系のドレスなど、二幕の大人になってからのほうがやはり良かったです。歌は男役の時に、見た目と違って声が高いと思っていたので、思っていた通り、意外と良く出ていましたね。「私だけに」をしっかり歌いきったのには感心。努力は相当なものであっただろうと思います。
フィナーレのダンスナンバーで、やっとリラックスした生き生きした表情が見られ、とても華やかで良かったです。

フランツの初風緑。歌はすごく良かったです。歴代最高。上手い人なんだな~、と改めて思いました。
あまりじっくり観る気のおきない「エリザ」だったので、細かい事は良く分かりませんが、それ以外に特に発見はなかったです。瀬奈とのバランスは当然悪いですし、愛しているようにも見えないですし・・。相手が普通の娘役さんだったら、もう少し包容力を感じられたかもしれないですね。

ルキーニの霧矢大夢。かっこ良かったです。霧矢を観て、自分の中に「かっこ良い」なんて感想が出ようとは、今まで考えられない事だったので(^_^;)、素直に驚きました。役が良く似合っていて気持ち良いです。声は、轟のルキーニがこびりついている私としては、すこし高めに感じましたが、良く歌えているのは間違いないですし。今までの霧矢の中では一番良いですね。
役作りとしては、狂人の度合いが強い、高嶋政宏君にやや近い感じがしました。

ルドルフの大空祐飛。出てきた瞬間、足長い~、かっこ良い~、と思いました。衣装も豪華ですしね。スターブーツですしね(^_^;)。
単品で見ている分には素敵でしたが、瀬奈の息子にも、初風の息子にも見えず、さすがに大人に見えてしまうのが、学年を考えれば当然なのですが、若いイメージがあったので意外でした。そういう点で、ルドルフの坊ちゃん的魅力は物足りないかな。
歌は「闇が広がる」はまずまずながら、「ママは僕の鏡だから」は根本的に伴奏とズレていてひっくり返りました(^_^;)。パレードでもまたズレていてひっくり返り、この歌って難しいんだな~、と改めて思いました。

ゾフィは美々杏里。周りが爆弾だらけなので(笑)、妙にまともに、大人しく見えましたが、正統に良かったと思います。エトワールは立ち上がって「ブラボー!」と叫びたい位、華々しく素晴らしかった!! さすがです。
子ルドルフの彩那音は下手すぎて論外。見た目は可愛かったです。

エルマーの月船さららは見た目がかっこ良く、シュテファンの北翔海莉は声が立派なので妙にしっかりと強そうに見え、ジュラの真野すがたは台詞ともども頼りな~い雰囲気。
エルマーが旗頭で、実質シュテファンが動かしていて、ジュラは可愛い弟分なのね、という感じでした。別に意図した役作りではないでしょうけれど(^_^;)。
越乃リュウのツェップスは、すっきりとした二枚目のおじさま風で素敵。

「最後のダンス」の影ソロは、私も気が動転していたのか(笑)、歌っているのが月船だと知らなかったし、気づかなかった位なのですが、そんなに悪くはなかった気がします。
フィナーレの男役の群舞で北翔が最前列センターだったのが、分かるような(笑)、でも、そこまでしてくれるんだ・・と嬉しかったです。さすがに、しっかりと大きく踊れていて、良かったですね。

今回気に入ったのはマダムヴォルフのコレクション! 嘉月絵理は期待通りに派手だし、怖いし、上手いし、迫力あります。また、マデレーネの城咲あいも、スタイルの良さも色気も生きていて、暗い、妖しい雰囲気が素晴らしい。その他の娘役もダンサー揃いでしたし、鳥の二人も男役で怖いし、月組らしく、妙に妖しく恐ろしい一団でたまらなく面白かったです(^_^;)。
てっきり大臣だと思っていた一色瑠加が黒天使の長(しかも鳥まで!)で、ダンスのきれいな楠恵華がシュヴァルツェンベルクっていうのも、今回の小さな不思議配役の一つですが(^_^;)、二人ともがんばっていて良かったです。

ヘレネの花瀬みずかはとてもキレイに出ていましたね。役柄的には、あんなに可愛くアピールするのはどうなんだろう・・という気もしますが、あれだけキレイに出られるのは良い事だと思います。
リヒテンシュタインの紫城るいもとてもキレイでした。この役には勿体ない位。

私、爆弾が彩輝のトートだけだったら、月組「エリザ」はアリだったと思うんですよ。トートはその人なりの魅力で押せば良い、とても懐の深い役だと思いますし、他の配役を誠実に、ちゃんとベストを尽くしてさえくれれば。
彩輝トートが決まった時点で、「例えばエリザベートが花總まりで、ルキーニが轟悠だったりすれば、彩輝トートもアリだ。観たい。」と友達に言っていた位です。
まぁ、それは現実的にあり得ないにしても、例えばエリザベートが花瀬と紫城と彩乃かなみの3パターンだったりすれば、もっとバランスが取れた良い舞台になっただろうし、私も気持ちよく観られただろうと思いました。(他にも変えて欲しい配役はいっぱいあるけれど・・)

ヴィンディッシュ嬢の椎名葵は、前半歌をキレイに歌いすぎて迫力がなかったですが、後半のイっちゃっている表情がすごくて、びっくりしました。うーん、ちょっと歌と演技がつながっていないかも・・。
若手では、明日海りおがキレイで目立ちます。エーアンの歌手の五十鈴ひかりも抜擢でしたが、なかなか上手でした。