雪組バウホール公演「Young Bloods!!」-魔夏の吹雪ー


「Young Bloods!!」がギャグ公演だった頃(笑)、雑談掲示板に

今一番楽しみなのは、雪組「Young Bloods!!」で、齋藤先生が凰稀かなめにどんなキャラをつけるのか、って事です。
何か想像できそうで・・楽しみ~(^_^;)。

と書きました。
その頃想像していたキャラというのは、凰稀と言えば、超ビジュアル系キャラ、モテてモテて仕方がない、本人もナルシスでスカした・・(?!)、みたいなものだったんです。
ええ、安直だとも、何とでも言ってください。
そして、私は凰稀好きですが、そんなギャグものが見たいと思っていました(笑)。

しかし今回の物語は、私が想像していた安直なギャグとは全然違うものでした。
柚希礼音主演がシリアスものでしたし、先に発表になっていた今回の公演のあらすじを読んでも真面目っぽいし、イヤな予感はしていたんですよね~。
いざその真面目な物語が始まってからも、しばらくは「経験の浅い若手ばかりなんだし、ギャグにしておけば簡単で良かったのに~。」と思っていました。
けれど、意外と良かったんですよ、これが。真面目に、普通に、面白かったです。
「Young Bloods!!」なのに(失礼)、結構見応えある作品に仕上がっていたのではないかと思いました。

齋藤先生の中では、凰稀かなめは不幸が似合うキャラのようです。
凰稀は折角の初主役なのに、そんなに悩み苦しまなくっても・・というくらい不幸の連発(^_^;)。
しかもショーになっても、フラれたり翻弄されたりが続くものだから、かえって笑ってしまいました。
一度くらいハッピーエンドにしてやって下さいよ~、齋藤先生。
けれど、確かに、あんまり不幸すぎて可哀想なのですが、悩み苦しむ姿が美しく、似合うのも確か。

そんな役でした。主人公のロバート三浦という人は。凰稀への初めてのあて書きの主人公は。
物語としては、兄弟の愛憎劇。兄(大湖せしる)が恋人(大月さゆ)を寝取ってドロドロに展開していく内容には、個人的に「血と砂」を思い出さずにはいられませんでした(^_^;)。その重複を避けるために、下級生の可愛らしい大湖を無理矢理兄にしたのではと思った位です。
ベースボールのユニフォームは、さすがの8頭身以上?(適当)の凰稀も、美形の大湖も着こなせず、タカラジェンヌにその格好は×だな、というのが分かりましたが、文句をつけるならそれくらいかも・・。
あと、ロバートが死ぬようなラストはないのではないかと思いましたね。ロバートには、色々の出来事を背負って、生きていて欲しかったです。

そのロバートの凰稀。意外とメディアから受け取る言動を聞いていると芝居好きのようなのですが、それが生きていて良かったです。下級生ばかりでこのシリアスな物語を、それなりに真摯に伝えられていたのは、彼女が良く演っていたのが大きいのではないかと思います。物語は地味な日本物で、彼女の容姿が生かせているとは思いませんでしたが、軍服だけでも十分スラリとしてキレイでした。

しかし何と言っても良かったのはショー。ダンスも歌も上手いイメージはなかったですし、柚希の次はツラいなぁ~、と思っていたのですが(^_^;)、全く別の方向で勝負できていました。
今更ですが、美しいです~。もうそれだけでうっとり。後は何でも良い(笑)。
いや、歌もダンスも落ち着いていて、良くできていましたよ。新公主役の時のようないっぱいいっぱい感がなく、余裕があって、本来の彼女の素晴しさがちゃんと出せていると思いました。
けれど本当に、そんな事はどうでも良いと思ってしまうのです。彼女の見栄えの威力を再認識しました。
早くもっと沢山、彼女が活躍する舞台が見られる時代が来て欲しいです。

物語の役としては、兄役の大湖せしるの方が魅力ある役ではないかと思いました。そんなおいしい役を、大湖は今までになく頼もしく見せ、一皮むけたのではないかと思いました。
キレイなのは知っていましたが、特に拘束されてからの椅子に座る姿は本当にキレイでしたね。

ヒロインの大月さゆは、芝居に歌にダンスに安心して見られました。今までの「Young Bloods!!」の中では一番良いヒロイン(JIMMY内判定)が回ってきて、凰稀はラッキーかも。恋はちっとも実らせてもらえませんでしたが(^_^;)。
続く娘役では、愛加あゆが抜擢。まだぽっちゃりしていますが、宝塚らしい可愛らしい容姿です。
このセンターの男女4人が美形揃いで、その点からも見ていて嬉しい公演でした。

他では組長の森咲かぐやが、キレイでキビキビしたダンスも良かったです。今まであまり本公演では活躍していなかった娘役さんですが、これからが楽しみ。