花組新人公演「落陽のパレルモ」


花組新人公演「落陽のパレルモ」、11/29に観てきました!

ヴィットリオの華形ひかる。前回「マラケシュ・紅の墓標」新人公演評で「この役を経た華形なら、次回は主役もアリではないか」と書いた通りの、卒業ギリギリでの主役となりました。
正に、今までの集大成のような舞台で、落ち着いて、丁寧に演じていたと思います。
容姿はとても華やかでキレイ。実力的には歌が弱いのが、春野寿美礼の役を演じるには辛い所。しかしそれよりも、良いものを持っているし、努力の成果も見えるだけに、背が低いのがつくづく惜しいと思いました。

役作りでは劇的に何かが違った! という程のものはありませんでしたが、春野の台詞回しに特徴があるだけに、台詞を素直に聞かせてくれたのはありがたいです。
一番印象に残ったのは、終盤の、葬儀の場でのアンリエッタ(桜乃彩音)との別れ。そして母親(七星きら)の悲劇、その後残されたヴィットリオのソロの部分で、彼がとても孤独で、可哀想だと共感できた所。
本公演では生まれなかった感想でした。

アンリエッタの桜乃。期待通りの美しさでしたが、黒髪をピッタリと分けた髪型が、思ったよりも似合っていなくて、頭がより大きく見えたのが残念。本公演のマチルダの方が、見た目はキレイだと思いました。
歌や芝居がどうだったのかというと、そんなに素晴らしい事もないし、悪すぎる事もないと思います。
しかし、貴族育ちだという背景が観ていて分かると言うか・・ゴージャス感がすごいんですよ。その存在感で、舞台を引っぱっているような気がしました。
華形とのバランスは、非常~に良くなかったです(^_^;)。背丈も合わないですが、頭が桜乃の方が大分大きいのが辛い・・。でも二人が一生懸命愛し合っているのは、良く伝わりました。

ヴィットリオ・Fの朝夏まなと。白の衣装が良く似合う、爽やかで上品な坊ちゃんぽさは文句なしです。
優しそうなふんわりとした持ち味は良く出ていましたが、「命の危険があるという事が本当に分かってる?」と思わず聞きたくなってしまうような、頼りな~い若者に見えました(^_^;)。
背が高く、恵まれた容姿だと思いますが、姿勢が悪く、スーツの着こなしもまだまだ。男役として腰がすわっていない感じがするので、これからの成長待ちですね。

ジュディッタの華城季帆は上品で美しく、芝居もしっかりしていて安心して見ていられました。
モデルだとか、めちゃくちゃ愛されている美人だという艶やかさの点では、今の遠野あすかはすごいものがあるので、見劣りするのですが・・。
ラストのデュエットで聞かせてくれた歌が、さすがに素晴らしかったですね。

エルヴィラの桜一花。上手かったです~。老人役だ、という意識よりも、台詞に感情をしっかり込める事を優先したようで、激した時の台詞は若さが出てしまった気がしますが、それ意外は本当に良く演っていると思いました。

ロドリーゴの望月理世。特に破綻なく上手かったですが、洋画に出てくるヒロインの婚約者役みたいな(?)、軽い小者に見えたのが、間違いではないと思いますが、宝塚の二枚目候補としては物足りないです。
銀橋の歌は、上記の男役に比べると(^_^;)良く声が出ていましたが、気合いが入り過ぎなのが見えてしまってもう一つ。

ニコラの扇めぐむ。もともと気持ちよく上手い人だというのは知っていましたが、男役らしく黒めの化粧もキマり、スラリとしたスタイル、足の長さも目を引きます。ダンスはもともと目立つ上手さですし、歌も良かったですし、台詞もしっかり聞かせてもらえる。今回の新公で抜群にグッと来た(笑)男役さんでした。
本当に、顔が面白い(失礼)のが惜しいですが、それでバッサリ切るのも惜しい気がする逸材です。
本公演評で書いた大好きな「白い手だな・・」の場面は、本役の蘭寿とむ&桜乃があまりにも良い雰囲気を出してハマっているので物足りなかったのですが。

マチルダの澪乃せいらもまずまずキレイな人ですが、桜乃に比べると地味。
ベアトリチェの華月由舞は本公演のロケット同様、華やかな容姿で目立ちます。

他ではカヴァーレ公爵の嶺輝あやとが、見た目がダンディでかっこ良く、夏美ように比べると、見た目からも父親の温かさがより出た役作り。
ドンブイユ公爵の紫峰七海が、本公演と同じく芝居を盛り上げる熱演でした。
ニコラの仲間、カルロ(日向燦)とリカルド(望海風斗)が実力的には安定していて、この革命チーム(?)は観ていて頼もしかったです。

フェリーチタの七星きらは、本役の華城季帆に比べると、見た目からヴィットリオの母親であるという色が強く、優しげな雰囲気。
アナベラの花野じゅりあが、ダンサーのイメージがあったのですが、歌も意外と歌えていたのは収穫でした。