宙組大劇場公演「NEVER SAY GOODBYE」


宙組大劇場公演「NEVER SAY GOODBYE」、3/26と、5/4×2公演観てきました!

ワイルドホーン氏が全曲書き下ろした、小池先生の新作ミュージカルという事で、期待通りのとても良い作品でした。
まずは何と言っても曲が良いです。好きなナンバーを挙げるのは難しい位、どの曲も好き。
沢山の生徒にソロがあったのがファン的にも嬉しいですし、歌えている人が多いのが今の宙組の良い所。また、コーラスも宙組らしく良くまとまっていました。

欲を言えば、宝塚でなくても上演できそうな宝塚臭さのない作品で、特に衣装が地味なのが物足りなかったです。特に今回は和央ようかと花總まりのサヨナラ公演なので、コスチューム物が合う二人の、美しい衣装があまり観られなかったのが残念でした。
作者もそれが分かっているから、二幕の「サン・ジョルディの祭り」で、二人に王子と姫の扮装をさせているのでしょうけれど(^_^;)。

ジョルジュ・マルローの和央。
基本的に若手の頃からスタイルが良かったですし、いつまでも若く、変わらない所が和央の良さだとも思います。しかしそれでも、何気ないシャツの着こなし、しぐさに、雪組でひょろひょろしていた頃とは違う、リアルな男役に見える形があるな、と。サヨナラだけに何かしみじみ昔を思い出しながら観てしまいました(^_^;)。
あまり作らない、ナチュラルなタイプの男役だったと思いますが、これが和央なりの完成された男役の形なのかな、と。あまり、私が知る限り、過去にはいなかったタイプの男役だと思うんですよね。
ゆったりと、ナチュラルに。キャサリン・マクレガー(花總)の上をふわっと、少しの余韻だけを残して、通り過ぎる。この役、この作品は、和央のサヨナラらしいな、と、そう思いました。

フィナーレの黒エンビのデュエットも、サラリとオシャレで和央&花總らしい。
ラストの銀橋でのポーズも、和央のシルエットの美しさが生きていて、良い演出だと思いました。

キャサリン・マクレガーの花總。1本芯の通った大人の女性を演じきり、実力のある所が見られて良かったです。
上記の通り衣装が地味なのが物足りないですし、最近公演評に書いていますが、役の大きさに比例してそのまま見せる人の気がするので、今回の作品では、存在感も地味めなのが物足りない。12年もトップであり続けた花總の最後がこれか? という気がします。私は花總好きなので、バウホールで主役くらいして欲しかった位で、これでサヨナラなのはすごく物足りないのですが、あくまでトップスターの相手役でいようとし続けた花總らしいのかな、とも思います。
今まで沢山の良い役を、既に観せてもらっている事は間違いないのですから。

それでもせめて、最後のパレードの衣装くらいは、驚くような良いデザインのものが見たかったなぁ・・。すごーく普通でつまらないです(^_^;)。
背負い羽にナイアガラがついているとか、最後のデュエットで大階段の真ん中を一人で昇っていく演出があるとか、そういう配慮があるのは分かっているんですけれど。
そういう演出もサラリと、淡々と流して、あくまで控えているのが物足りないです~。
衣装ではこれもシンプルですが、冒頭のベージュのドレスが一番好きでした。

ヴィセント・ロメロの大和悠河。最近私の中では株が上昇中だったのですが、今回の役はもう一つ。
まず、黒髪とマタドールの衣装が似合っていなくて、持ち前の華が半減しているのが辛いです。
和央と花總がリアルなので、キラキラの衣装を着て、「野性味」とか「男らしさ」とか似合わない演技を求められ、四苦八苦している大和を観ていると、「宝塚を観ているな~」という妙な安心感(?)は感じるのですが(^_^;)。
ミュージカルだけに歌えないのも辛い。特にフィナーレナンバーは辛かったですが、1ヵ月後には少しはマシになっていたかな。
この場面も、私に言わせると、持ち前の華でごまかせられない演出が良くないです!
大和に歌わせるなら、せめて帽子は取りましょう。(大本気)
顔にスポットを当てましょう。できればもっと衣装も華やかにしましょう。これで随分印象が違う筈です。

エレン・パーカーの紫城るいは持ち味にピッタリの美人女優の役で良かったです。
歌は声に特徴があるのは気になりますが、他は文句ない上手さ。

フランシスコ・アギラールの遼河はるひは見た目に迫力があり、悪役が良く似合っていました。
初見の日は髪型がもう一つで頭が大きく見え、恐すぎてもう一つでしたが、1ヵ月後にはキレイになっていました。
歌も初見の日は何度もカマして辛かった(^_^;)ですが、これも1ヵ月後には随分マシになっていました。

歌ではベテランの美郷真也、専科の立ともみ、若手では抜擢の和音美桜、風莉じんが特に良かったです。
他にも全体に適材適所で、上記の通り若手のソロも多く、観ていて楽しい公演でした。