雪組大劇場「堕天使の涙/タランテラ!」


雪組大劇場「堕天使の涙/タランテラ!」、9/26&30に観てきました!
観劇からかなり日にちが経ってしまって記憶が薄れている部分もありますが、観た公演全部の感想を書くのがポリシーなので(^_^;)、がんばって書いてみたいと思います。

まず植田景子先生の「堕天使の涙」。前半ルシファー(朝海ひかる)がジャン=ポール(水夏希)やイヴェット(大月さゆ)等を誘う件までは、「ブルーローズ」の場面など多少お耽美趣味に走りすぎている感はあるものの、朝海に妖しい堕天使が良く似合ってワクワクしましたが、後半はイマイチ。

リリス(舞風りら)のあまりの清らかさに、ルシファーが変わっていく・・という展開なら分かる気もする(そういう展開のつもりだったような気がする)のですが、リリスがいなくてもルシファーは始めから迷いがあったかのようでしたし、後半になって急にルシファーが悪い人(?)ではない事が発覚してしまう(^_^;)のがつまらなかったです。
この辺りが上手くいっていれば、ルシファーも小池先生の「天使の微笑 悪魔の涙」のメフィストフェレス役くらいには魅力のあるキャラクターになっていたかもしれないなぁ、と、設定が似ているだけに思い出さずにはいられませんでした。
教会の件は特に、説教臭く長く感じました(冷めていてすみません)。景子先生は教会とパイプオルガンが好きですよね~。

ショーの「タランテラ!」は荻田先生の最新作。これも朝海に人々を踊らせる毒蜘蛛タランテラという設定が良かったですし、囚われの男の壮一帆、蜘蛛の音月桂、美しい同期男役の彩那音&柊巴を対で配するなど、若手まで上手くグループ分けされた配役も面白く、相変わらずの妖しい荻田ワールドで楽しめました。
観劇回数が少なく、物語を深読みする所まではいかなかったですが、各場面に意味ありげに存在していた音月が気になったので、そんな所から物語を考えてみるのも面白そうです。

一つ気になったのが私も衣装。色合いの趣味が悪いんですよね~。
荻田ショーに、有村さんの衣装はナシなんでしょうか(^_^;)? この趣味の悪い色合いも「宝塚」の「毒」の魅力の要素の一つなんだと荻田先生は思っておられるのかもしれないですが。装置や照明の雰囲気が今回も独特で良いだけに、惜しいんですよね。

作品には色々文句を書きましたが、朝海は本当に素晴しいです! 私が今更言わなくても、舞台を観て頂ければ分かると思いますが。
物語の毒のある美しさ。プロローグでの妖しいダンス。ショーではこんなに踊って千秋楽まで大丈夫? と心配になるほどのダンスナンバーの数々で、サヨナラ公演にふさわしく、抜群の存在感がありました。
私の心配をよそに、千秋楽が近づけば近づくほど神がかり的に素晴しくなっていったそうで、後半の公演を観られなかったのが残念です。

同じくサヨナラの舞風は、物語の方はどう考えても出番も少なく美しくもない役で気の毒。しかし「光のパ・ドゥ・ドゥ」を踊る為の役だったのだと思いましょう。この場面は今までの物語での説明効果もあって、リリスの踊りを中心に観てしまいましたから。

ジャン=ポールの水は衣装、髪型が良く似合い、「ブルーローズ」など美しくて良かったです。ショーもラストの朝海、舞風との黒エンビのナンバーが、ダンサー揃いで大人っぽく、成熟されたもので流石でした。
あえて群舞でなく、この三人の場面にした所が渋いと言うか・・面白いのではないかと私は思いますね。

壮はエドモンといい、ショーのでの囚われの男といい、「DAYTIME HUSTLER」以来すっかり翻弄される男が定着したようで(^_^;)・・確かに似合っているんですけれどね。
音月は久しぶりに若手二枚目らしい普通の役を観た気が(^_^;)。大月ともども熱くたっぷり演じてくれていて、見た目もキレイで良かったです。

組替えの彩那音がターゲットにされる作曲家というもうけ役。見た目に役が合っていました。
凰稀かなめはルシファーの僕。この役も、もっともっと美味しくできたのではないかと思うんですけれどね~。
本当にただ甲斐甲斐しく世話しているだけ、見ているだけ。ルシファーに対してどう思っているのか、等、もっと何か見せても良かったはず。
一般の観客には、「キレイね。これから楽しみね。」くらいは思ってもらえるでしょうけれど。好きな生徒さんだけにあえて言いたいですが、私にはすごーく物足りなかったです。
緒月遠麻も役には文句はないですが、なぜいつも黒髪のオールバックなんでしょうね~(細かい^_^;)。大きいですし、目につくのですが、あれではどちらかというと悪目立ちっぽい気が(おいおい)。
映像でしか観ていませんが、新人公演の茶色センターパーツはすごくかっこ良かったではないですか~。

物語では、萬あきら&五峰亜季のカップルが独特の雰囲気と存在感で舞台を締めていました。

ショーでは、娘の山科愛の見た目の無邪気さが得難い存在。
また、涼花リサの美しさが良く目につきました。