「アンナ・カレーニナ」


「アンナ・カレーニナ」、ドラマシティで、3/5に観てきました!

この掲示板の2001-12-28に、一路さん(一路真輝)のリサイタル「DIVA 2001」の感想があります。
その公演には、この「アンナ・カレーニナ」の中から数曲で作られたミニ・ミュージカルのコーナーがありました。それがすごく良くて、「小池先生に誰か伝えて~! こんなに良いもの観せてもらって、これで終わりはヒド過ぎます~(;_;)。」と、書きました。
それから、5年近く。
その後の「DIVA 2004」でもこのナンバーは歌われていましたし、一路さんも気に入っているようで、この夢、一路さん主演でこの作品のミュージカル化は、いつかきっと叶うだろうと思っていました。そして、一路さんは期待通りに、夢を叶えてくれました。
約一年前に、この公演の報を聞いた時には、飛び上がって喜んだ事を雑談掲示板2005-02-25に書いています。
雪組新公の私的夢の配役が崩れた今となっては(^_^;)、宝塚外ではありますが「今年一番のお楽しみ公演だ」と豪語していたこの公演、ようやく観る事ができました。

いやぁ、もう、良かったですよ(*^。^*)。
この公演を実際に観て、一番感じたのは、井上芳雄君の成長でしょうか。
正直、「エリザベート」のルドルフ役でも、「モーツアルト!」でも、世間の評価ほどかっこ良いと思った事がなく、それは自分が宝塚ファン(男役の方がかっこ良く見える^_^;)だからだろうな、と思っていたのですが、今回は、素直に、かっこ良かったです。
有村さんデザインの軍服、黒エンビ、フロックコートが、普通に似合っている。そんな日本人男子を初めて見ましたよ(笑)。
そんな彼が、もう、列車での出会いの冒頭から、一目惚れしているのが明らかに分かるし、情熱的にどんどん押してくる。一幕ラストでアンナが落ちる(笑)のですが、終わった直後に「やむを得ないな。」と結構大きな声でつぶやいた人がいたのに思わず苦笑&納得(^_^;)。
本当にどんな貞淑な妻でも、やむを得ないですよ。あんな若くて素敵な男性に口説かれたら。

プログラムにも書かれている通り、歌はあまり多くなかったのですが、それほど気になりませんでした。
アンナの死後の出番は旅立つ一瞬だけ。
確かにここで心情吐露の歌が一曲あれば(と井上君のプログラム談に載っていた)・・とは思いますが、帽子とマントで良く表情も見えないような短い出番で、彼の悲しみが強いオーラで伝わってきたのに感心しました。
やはりパワーが違うのかな~、女性が演じる男役とは。(あくまで宝塚ファン的感想ですみません^_^;)

そして一路さんも、本当にキレイでした~。一幕最後の有村さんデザインのピンクのドレスの美しさといったら! あのキレイに胸元の開いたドレス姿で会えば、ヴロンスキーでなくても、狂いますよ(^_^;)。
アンナの全体像としては、コンサートで観た印象よりも、もっと可愛くて、貞淑で、幸せな妻だったという印象。
だから、ヴロンスキーの求愛にもなかなか答えなかったのも分かるし、答えてから歯止めが効かなくなった事も分かるんです。

今回思った一番の感想が、アンナも貞淑な妻だし、ヴロンスキーもすごく純粋にアンナを愛している。カレーニン(山路和弘)も厳格だけれど、アンナを愛している。3人とも、悪い人はいないんですよ。皆、誠実な良い人。だからこそ悲劇へとつながるのが単純に分かる。
今回、外キャストで、意外とストレートプレイ系の演技派が揃ったのもあるかもしれないですし、演出が鈴木裕美さんだったせいかもしれませんが、そんな主要人物の立場が、昔の文学作品とは思えない程、分かりやすく、スッキリと伝わってきました。全然難しい作品には思えなかったです。

コンサートで聞いたナンバーは、その後DVDで何度も聞き直していたのですが、その時から感動していた「セリョージャ」がやはり秀逸。実際物語があり、セリョージャの姿を見た後で聞く「セリョージャ」は、コンサートで聞くのとは全然違いました。二幕はこの歌に泣かされっぱなしでしたよ(;_;)。

山路和弘さんはポスターで見た限り、かっこ良さそうだと期待していたのですが、意外と普通でした(あくまで山路さんについてはあまり知らない宝塚ファンの勝手な感想としてお聞き下さい^_^;)。
歌に関しても、鈴木綜馬さんで聞き慣れすぎていたので、物足りなかったです(返す返すすみません^_^;)。
でも、ラストの「受け入れよう」の場面、一路さんの驚愕の表情といい、山路さんの背中といい、すごく良かったです。切なかった・・。

レイヴィンの葛山信吾さん、キティの新谷真弓さんは、アンナ&ヴロンスキーとは対照的なカップルとして、可愛く、楽しませてくれました。
葛山さんはまぁまぁ歌も上手かったですが、新谷さんはちょっとびっくりする位上手くなくて(^_^;)、申し訳ないですが、一路さんとのデュエットは聞いていて辛かったです。宝塚の現役の娘役さんでも、この役をもっと上手くできる子はいくらでもいるのではないかと思いました(^_^;)。

スティーバの小市慢太郎さん。人間らしくて、愛嬌があって、暖かくて、素敵なスティーバでした。猟をしながらレイヴィンと語る所が楽しくて、良くウケていましたね。
そして、お久しぶりの春風ひとみさん。豪華なドレスの着こなしがさすがにキレイ。上流階級の夫人という事で、「ME AND MY GIRL」のマリア公爵夫人を思い出すような、気高い雰囲気でした。ヴロンスキーに釘を差す所もかっこ良かったです(^_^;)。

他では、舞台でたまに見かける福麻むつ美さんが、カレーニン家の家政婦役で出ていて、久しぶりに台詞も沢山聞けました。やはりめちゃめちゃ上手かったです。
セリョージャは、私が観た回はおそらく、男の子の夏目卓実くんの方だったのではないかと思います。上手でした。

今回の舞台も、良い役者が揃っていて、物語に説得力があり、セットも装置も衣装もセンス良く、とても良かったと思うんですよ。このままで再演されても、必ずまた観に行きます。
でも、再演される際には、もう少し歌える人を揃えて、もう少し華やかにミュージカル化して欲しいような気もしました。
小池先生演出でも観てみたいです。