宙組大劇場公演「炎にくちづけを/ネオ・ヴォヤージュ」


宙組大劇場公演「炎にくちづけを/ネオ・ヴォヤージュ」、8/14に観てきました!
りっちゃんさん、たぶん同じ公演です。組総見だったんですか。
歌えなくなったがいちさん(初風緑)、まだ公演序盤(私も初見)なのに・・と、ビックリしました。でも、観客の鳴りやまない拍手がとても温かくて、「がいちさーん!」と声もかかったりして、思わずもらい泣きしそうに(;_;)。
彼女の宝塚への愛と思いの強さが、伝わるようです。

お芝居は木村先生演出&甲斐先生作曲のオペラ宝塚化シリーズ、「炎にくちづけを」。
全体的な印象としては、「鳳凰伝」「王家に捧ぐ歌」「スサノオ」よりも群衆で歌い上げる場面が少なく、暗い場面が多く、迫力に欠けるな、と思いました。曲がまだ頭に入っていないせいもあると思いますが、各主要メンバーのナンバーも、圧倒されるものが少なかったですし、冒頭、寿つかさに延々歌わせるのも、申し訳ないけれど「他にいなかったのか?」と思います。寿はかっこ良くて、この役を演るにあたり、存在感としては申し分ないのですが。個人的にはこの役、ちゃんと歌える美郷真也でも良かったのではないかと・・。
中では、二幕10場牢獄の場面の、和央ようかのソロナンバーが抜群でした。トップとして、作品を盛り上げる力業を感じましたね。さすがです。

物語はものすごーく救いがないですが、キリスト教以外の人を差別するのはどうなのか? というメッセージはすごく分かりやすいですし、共感できます。人はどんどん死んでいきますが、物語上無駄な死だとも、お涙頂戴だとも思わないですし、感動する力のある作品だとは思います。
私がこの作品を好きか? 感動したのか? と言われると、微妙なのですが・・。やはりもうちょっと、ナンバーに、群衆の迫力を出す演出にして欲しかったですね。

和央は、正直、オペラグラスで観ると、最高潮の頃よりはちょっと見た目落ちているな・・と思うのですが(^_^;)。それでも、スタイルが、コスチュームの似合い振りが、文句なく宝塚の二枚目です。
歌は、前述の牢獄の場面を代表するように、完全に他メンバーを引っぱっていると思います。歌い上げの力強さは「ファントム」を思い出しました。
後は、何と言ってもラストシーンでしょう。あの絵のような美しい瞬間。照明の当たり具合。群衆の姿。
これを見せたいが為に、今まで物語が進行していたのではないかと思う瞬間で、あの姿は和央ならではでしょう。

花總まりも、今更ながら大変美しい、申し分ないお姫様振りでした。やはり花總にはドレスです!!
冒頭の恋っ振りが迫力あって、この辺りがやはり上手いなぁ、と思います。

初風緑。ひたすら冷たく、美しい貴族。なり切っていてさすがでした。

大和悠河。一回り顔がシャープになって、ますます美しさが冴え渡っています。黒光りする程の黒塗り、ドレッドヘアーさえも、良く似合っていました。従えるジプシー連も、さすがに下級生ばかりになってきただけあって、ちゃんと中でもお兄さん格に見えましたね。

アズチューナの一樹千尋。もともと男役とは思えない、どこから見ても、母な感じ(?)の見た目でしたし、それでも男役ならではの迫力もあり・・。
こういう狂信的な役所は、「王家」のアモナスロと通じる所もあるかな、という気もして、この役で再び木村オペラに登場するのは良く分かります。迫力ある歌声は彼女ならでは。

遼河はるひ、悠未ひろ、十輝いりす、七帆ひかる、和涼華、早霧せいな、凪七瑠海のジプシー連は、本当に皆かっこ良くて、見ているだけで嬉しい(^_^;)。
役柄では、ちょっとメンバー中頼りない子供らしいポジションであるらしい、和涼華や凪七瑠海が可愛くて、死ぬ時はとても可哀想。見た目では、私も十輝いりすがかっこ良いと思います!

大和が「オレの次は、若い者順に行け。」と言って死ぬではないですか。それで、最後まで残るのが、ひそかに七帆なのが私の中で激しくツボでした(^_^;)。そういう設定なんですか?! 遼河や悠未は、割と率先して行っていますが・・そういう年齢設定なんですか?!

そんな激しいつっこみの後の、ジプシー長老の美郷の演技には泣かされました(;_;)。
また、ジプシーの女たち(鈴奈沙也・彩苑ゆき・美風舞良・美羽あさひ・音乃いづみ・和音美桜)の嘆く歌もパワーがあって素晴らしい! 本当に、良いメンバーが揃っていますよね。

イネスの紫城るいは、美しい人ですが、何かもう、花總の近くに寄ると、顔の大きさが違いすぎて気の毒(^_^;)。
修道院長を見て、鈴奈でないのはなぜだろう? と思ったのですが、ジプシー女を見て納得。
毬穂えりなの歌は・・ひょっとして初めて聞いたのかもしれないですが、割と上手でした。本当に、いつも全身でなり切っている感が見える人で、面白いです。

ショーは三木先生の新作。特に驚くような事もなく・・無難な線。
並の下くらいかな・・。ショーには衣装が重要だと思っている私としては、今回もう一つな所が多いのが、やはり辛いです。
ラヴァーマン(和央)とつかの間恋人(花總)が絡み、去っていった後で、世界がタップに飛んでいく辺りが、三木先生らしい所(^_^;)。
このタップが売りで、宙組らしくピッチリ揃った総踊りは迫力がありました。
しかし、全員がバシッと揃った所で、鳴りやまない拍手を期待して曲が止まるのがもう一つ・・。
ここの黄色の衣装ももう見飽きた感がありますし、その前の原色の衣装もバラバラでもう一つ・・。

好きだったのは、ハロウィン。大和悠河が可愛い。和涼華も可愛い。歌っている天羽珠紀や風莉じんも、皆可愛い。美郷真也も可愛い。かぼちゃも可愛い~(^_^;)。
その後の前述のブルースの場面も、大人っぽくて好きです。黒服の花總の雰囲気が良い。

あとは大和のピアノマン(・・とはあまり書きたくない感じの)場面。真っ白な衣装の大和がひたすら翻弄される場面。美しいです、好みです(^_^;)。衣装や装置や設定が、安易でセンス悪いのがやや残念ですが。
大和はこういう役が似合うし、おいしいと思うんですよ~。
色々な国の人たちが翻弄しに出てくるのも、若手好きとしては、見所があってとても楽しいです。