雪組バウホール公演「DAYTIME HUSTLER」


雪組バウホール公演「DAYTIME HUSTLER」、11/12に観てきました!

貴城けい主演、小池先生演出。今年前半の若手バウシリーズとは条件が違います。良いに決まっていると思って見ましたが、その期待通りに良かったです。

ローレンスの貴城。文句なくかっこ良かったです。ちゃんとしっかり作られている物語の中で、求められている役柄、求められている魅力をしっかり出していたと思います。
これ以上求める必要はないとは思うのですが、見終わった後、何かすっきり「良かった~!」と叫べない自分がいました。
どちらかと言うと、貴城本人の出来ではなく、小池先生はじめ制作スタッフの方に言いたいです。この作品、貴城の本来の魅力が出せていたのかなぁ? と。

この公演。バウホールという小さな劇場。貴城のキャリア。小池作品。
チケットは完売して当然。作品も良くて当然。ブレイクする確率の極めて高い、貴城にとって正念場といって良い公演だったと思うのです。

このローレンスという役、確かにかっこ良かったです。貴城は実力があるのでちゃんと出来ているし、見せ方も心得ている気がします。
しかしこのローレンスという役、多分水夏希が演じても、朝海ひかるが演じてもかっこ良いのではないかと思います。いや、むしろこの2人が演じた方が似合いそうな気がするのです。

「アメリカン・パイ」の時も貴城はジーンズが衣装の役でした。ニンではないと思いましたが、一つくらいは辛抱役も良いだろうと思いました。
しかし、今回は明らかに、当たる事を狙って企画されていたと思うのです。それなのにジーンズ! 元不良なんて設定も、貴城的には想像し難い。

ハスラーにしても、どう見ても、白軍服コスチュームをオーダーされた時の、辺りを払うような美しさ、気高さが抜群だった気がします。現代の若者という設定にしては、似合いすぎて笑っちゃう位。
だったら、軍服でしょう。貴族でしょう。「品」こそが、貴城の価値なのではないでしょうか?

この公演に最上を求め過ぎでしょうか? でも、それ位の所まで求めても良い公演だったと思うんですよね・・。
私にとって、「意外とこんな今時な(言い方が古臭くてすみません^_^;)役もできるのね」とはなっても、「こんな役が観たかった!」の貴城ではありませんでした。
と言っても、誰にでも自信を持って見せられる公演である事は間違いないので・・「これぞ貴城」な公演は、これからに期待しておきましょう。

光あけみ、一原けいの専科陣をシスター役で無難に使い、飛鳥裕には格のある紳士を、美穂圭子にはたっぷりと歌わせ、芝居も締めてもらって、悠なお輝にはマフィアで凄ませる、教科書のようなベテランの使い方の上手さには大いに納得。

ヘイワードの壮一帆は、神経質な役柄が繊細な見た目に良く合っていました。
精神的に追いつめられていく所の演技は細かく、鬼気迫るものがありましたね。
シルヴィア(天勢いづる)を引っぱって歩く件の、髪が乱れている様子がとてもキレイでした。

そのシルヴィアの天勢。知的な、けれどどこかにいそうなお嬢様役。演技も歌も上手くて説得力がありました。

キャロルの涼花リサが、赤のドレスで登場した時から、キレイで可愛く色気があって、とても良かったです。他の出演者とは明らかに毛色の違う派手な役なのが、得をしているとも思いますね。

ロレンツォの緒月遠麻は、事前にCSで役柄とコスチュームを見て知っていても、登場時に後ろを向いてポーズしているだけで可笑しかったです。振り返って「ハッ!!」と言っただけで、もう、ハートはわし掴み(!)でした(^_^;)。
続く歌のナンバーも、割と長かったですが、ちゃんと説明歌詞が聞き取れましたし、安定していて良かったです。
後半はとても親切にローレンスに協力していましたが、店もほぼ潰された状態にもかかわらず、ローレンスにもう一つ感謝されていないんですよね・・多分ローレンスより年上の役だろうし、実際大きいのでちゃんとそう見えるのですが・・何か可哀想でした(^_^;)。

ジョニーの柊巴が若手筆頭のような役でしたが、しっかりまとめ役として存在できていて頼もしかったです。歌もなかなか良く、頼りないイメージがあったので、また少し見直しました。
他のメンバーも生き生きしていて良かったですが、ごちゃごちゃしていて見分けがつきにくかったのが、若手好きとしては残念(^_^;)。
だから、ブルース(悠)の手下の紫友みれい、香音有希の方が、黒スーツ姿が二人ともスッキリとキレイで、良く目につきました。