「BourbonStreet Blues」北翔海莉主演バージョン


「BourbonStreet Blues」、北翔海莉主演バージョンを、7/31、8/2、8/6の3回観ました。
面白かった~。ちょっと、ハマりました(一人で・・)。もう終わってしまうのが残念です~。

もともと、月船さらら主演の時から、物語は割と好きだな、と思っていたんです。
ものすごく、感覚が普通なんですよね。ギャングのお宝が手に入って・・という展開も、結局素直に返してしまう、前半の公演評にも書きましたが、主役のジェフは、ワルとは言っても、まだまだ可愛い少年(北翔主演の時は青年くらい^_^;)。
結局ドラマチックな事は何も起こりません。それは、正塚先生らしい「現実はそんなもんだよ」志向の、意図されたものだと思いますし、それが平たんに感じる人もいるかもしれません。でも、それがリアルで好きでした。
刑事や恋人の言うことを聞いて、思いとどまるジェフが。完全無欠のヒーローでなく、ありそうで、可愛いヤツなのが、良いな、と思いました。

良さそうな歌が3曲くらいはあったのも、楽しみにしていたポイントでしたね。

さて、北翔はもともと楽しみにしている男役さんの一人だったので、落ち着いた大人っぽい持ち味の北翔に不良少年は想像できないな~、と思いつつ、とても観るのを楽しみにしていました。
この公演で、一皮むけるのを期待して。「やった~! 生まれ変わった~!」と狂気乱舞したい気満々(笑)で観たんです。
しかし、初見の時は、「かなり良い線までは来ている・・けど、あと一歩足りない。私が狂喜乱舞するには、もうちょっと足りない。」という感じでした。

何が足りないんだろう? と考えると、もうひとつスッキリしない、もっちゃり感(^_^;)。足は感心する程長いし、痩せてかっこ良くもなっているのに、ズボンの腰まわりのラインがもう一つ・・。
あと、大汗かいているのもマイナス。そりゃ、この盛夏に革ジャン、革ジャケは暑いだろうけれど・・。
月船もキャンキャンピーピー暑苦しかったけれど、北翔も夏に観るには別の意味で暑苦しいよね・・、と観ながら思っていました(^_^;)。
しかし、時間が経つにつれ(どれだけ考えているんだか・・)、一番足りないのは発散する力だと思います。
歌も良い、台詞も聞きやすい。良い声をしているのに、それがバーッと前に出ていない。
私は北翔を観る時、同じ組の近い所にいる月船ではなくて、同期で中卒の奇才(笑)音月桂の舞台とよく比べてしまうのですが、北翔に、音月が「さすらいの果てに」で見せたような、バーッと前に押し出す力があれば、もう無敵なんだけれどな・・と思います。

そんな「良い線まで来ているんだけれどな~」の思いで観た火曜日。
良くなっていました。分かりやすい所で、髪型が良くなっていましたし、大汗をかいていなかったので、それだけで随分スッキリと見えました。
そして、本日土曜日。また、良くなっていました。
内にこもるような控えめな歌い方が、場面によって随分前に発散するようになりましたし、全体に見た目もキレイになりましたし、落ち着いた余裕ある舞台だったと思います。作品として、かなり良いものを観られたような気がしました。

この落ち着いた・・というのが、前半の月船バージョンを観ていると、不良少年のジェフとしてどうなんだろう・・とも思うんですよね。その先入観が抜けて、北翔なりのジェフが見えるのにも、3回観て良かったのではないかと思います。
何かこう、バーッと発散してはこないんだけれど(できたら良いと思うけれど)、低~い所から、じわりじわりと・・押してくるんですよね(^_^;)。正攻法で。
今時、体格ばかりが良くて、中身はそのままの男役が多い中、あれだけ男役を作って見せてくれる人も珍しいと思いました。しぐさや動き、表情がすごく男らしいです。

これも、3回観て思った事ですが、北翔のジェフは、将来絶対いっぱしのレーサーになりますね(^_^;)。
あれだけ強くて、男らしいジェフだから、もう挫折なんてしそうにないです。
「札付きだったオレを立ち直らせてくれた恩人の刑事」なんて、将来ジェラルドが取り上げられたりするのが、目に見えるよう(^_^;)。そして、彼を支えたインテリアデザイナーの彼女、というシンシアとの絵に書いたようなカップル振りも。そして、島を買って孤児の為のネバーランドを作るという夢も、彼ならいつか叶えそう。

喧嘩が強い(動きが良いから本当に強そうに見えます)、だから、運動神経もある。仕事も真面目にできる、人を思いやる気持ちもある、良い所のいっぱいある青年が、まだぐずぐず芽を出せないでいる。
そういう視点で見ると、この役、結構今の北翔に合っているような気もします(^_^;)。

そんな彼も、ちょっとした事件がきっかけで、前を向いて歩き出す事ができた・・。
そんな、レーサー話も、ありそうな気がします。
北翔のジェフは、そんな将来を予感させるような、力強い才能溢れる青年だったような気がしました。

もし、初見の時に、これくらいのものが見られたら、狂気乱舞していたかもしれません。
それは、出来過ぎな気もしますが・・。
練習期間はたっぷりあっただろうに、何もこの短い1週間の公演の間にそんなに変わらなくても・・と思ったり。しかし、あまり必死さは見えないタイプの男役さんですが、初日頃はあれでいっぱいいっぱいだったのかな・・と、あの大汗振りからも、思ったりしました。

歌も3回目がやはり一番良かったです。
個人的には、バーッと発散する(しつこい)タイプが好きなので、2幕のシンシア救出の際に、足止めされる時に歌う歌が特に好き。
主題歌は最初低い声から始まりますし、裏声っぽい高い声までありますし、最初はすごく難しそうだと思いましたが、これも後半はすごく気持ちよく歌えていましたね。「疲れ果てて~♪」の一番高い所も好きでした。

そういう意味でも、CSで放映されるだろう千秋楽映像は楽しみですね。
公演をご覧になっていない方も、興味があれば、初日の映像と千秋楽の映像を、ぜひ見比べてみて欲しいです。たぶんかなり違うはず・・。

すみません、かなり長くなりました(^_^;)。他の人いきます。

シンシアの夢咲ねね。CSで見る素顔はとても可愛らしいですし、大柄で華やかな娘役さんは好きなタイプなので、楽しみにしていたのですが、今回の舞台ではもう一つ。
おそらく化粧が良くないのだと思うのですが、見た目が可愛くなかったです。
そうなると、演技内容だけで言うと、前半の白華れみの方が上手だったかも・・と思ったりもしました。
大劇場等の舞台で探した時は、とても華やかで綺麗な娘役さんだと思ったんですけれど・・。おそらく今回の舞台のナチュラルメークが似合っていないんでしょうね。
スタイルが良く、ダンスはキビキビしていて良かったような気がしました。歌はもう一つ。

ジェラルド(他)の嘉月絵理は、前半との違いを述べられる程、もう前半を良く覚えていないのですが、特に変えてはいないと思います。
今日感心したのは、「おまえ・・」と北翔に言いかけて、北翔の気持ちが動くまで、次の台詞を見て待って言ったんですね。こういうので同じ台詞でも説得力が違うんだろうな・・と思いました。

青樹泉は、DJの台詞が真野すがたよりずっと聞きやすくて良かったです。前半に書いた通り、真野の良く分からないムーディーなトークも、DJとしてアリかな、とは思うのですが、個人的には何言っているか分かる方が気持ち良くて好き(^_^;)。
デイモンの方は、本当に薄~い役なんだなぁ・・と(笑)。
スタイルが良く、小顔なのは良く目立ちますね。

今回ちょっとお気に入りなのが、スマイルの彩星りおん。明日海りおの可愛さに比べると「何で?」と思える抜擢でしたが(^_^;)、舞台を見ればその訳が分かります。ジェフに友達と言われて嬉しそうな所とか、シンシアに男とは・・という辺りとか、すごく上手でした。歌も良かったですし。
唯一ラストのアマンダとの良い雰囲気の場面に、逃げ出しちゃう所は、明日海の可愛さが良かったな~、と思いましたけれど。
何にしてもまだ研2の男役さんなので、これからが楽しみです。

光月るうは、ロッシに関しては私は龍真咲より良かったと思います。
龍の黒い薄目の髭に黒髪オールバックがどうしても可笑しくて(笑)、もう一つ入り込めなかったのですが、光月の金髪に髭が、それよりは無理がなかったですし、歌や台詞も、声量は物足りないものの、上手かったような気がしました。
ロバートの方は、嫌みな坊ちゃんぽさと見た目で、龍が断然似合っていましたけれど(^_^;)。

ダイアナの天野ほたるは憧花ゆりのより大人っぽい。けれどどちらも美人。
ロザンナの萌花ゆりあが、スタイルが良くてキレイでした。

あとはB班の面白キャラ。バレンチノの朝凪麻名。バックで踊っている分には割と爽やかな二枚目さんなのに、あのバレンチノのヌーボーさは・・やや宙組の十輝いりす系(^_^;)。正塚先生も面白く描いています。
あとは、メリルと看護婦の姫咲ひなの。上手いんだか下手なんだか微妙ですが、面白キャラとしては、かなりのインパクトがありました(^_^;)。