「マラケシュ・紅の墓標」新人公演


「マラケシュ・紅の墓標」、4/12の新人公演を観ました!
花組の新公は・・と思い起こしてみると、何と「ミケランジェロ」以来。たまたま時期の巡り合わせだったのですが。
すっかり主要メンバーも代変わりし、新鮮な発見が沢山あって楽しかったです。

中でもとりわけ新鮮なのが、主演の朝夏まなと。前公演までの事を考えると(「くらわんか」を観れば、それもアリかな、と思いますが)大抜擢の新研4。観客もそれが分かっている人が多いのでしょう。幕が開き、第一声の歌にまずまず張りのある声を響かせ、銀橋に出て歌いきった所で「いいぞ!」と、はげますように大きな温かい拍手が起こったのが印象的でした。

その朝夏。全体にひょろひょろしていて、まだ男役として腰が落ち着いていない感があります。でも、背が高く、華やかで、その課題も時と共に解決していくのだろうという期待は、まだ若いですし十分に持てます。歌は、声が張ってきれいに響く時があるものの、全体に台詞と共にまだまだ弱いです。
役作りでは、春野寿美礼に比べて何か劇的に違いが見えたという程の事はなく、特に大人っぽく落ち着いて台詞を交わす所など、春野の特徴ある抑揚とそっくりだったのには苦笑。
しかし、オリガの桜乃彩音を道案内する件など、とても優しげだったのは朝夏らしいかな、と思いました。このように、オリガとの芝居や、イヴェット(華城季帆)とのパリの幻想場面に、相手役二人がとても情感が出ていたのもあって、朝夏も思いが良く出ていたのは良かったです。

レオンの華形ひかる。今まで私が持っていた華形のイメージからすると、一皮むけてシャープに、男役らしくなったようで、なかなかの二枚目振りに感心しました。台詞やしぐさに、朝夏に比べるとさすがに上級生らしい安定感が見られ、この役を経た華形なら、次回は主役もアリではないかと思いました。
花道のファティマ(華耀きらり)とのラブシーンも、キザに工夫していて良かったですね~(^_^;)。

オリガの桜乃。まずやはり見た目に美しい人妻に見えるのが良いですね。それだけで物語の印象も変わってくるし、クリフォード(望海風斗)の一目惚れも説得力あります。
台詞も全体に良く感情がのっていて、経験がある分、朝夏を良く引っぱっている感がありました。
クリフォードの望海は、二枚目で、歌も芝居も安心して観ていられます。

イヴェットの華城。見た目は遠野あすかの方がキレイでしたし、演技は今回遠野が宝塚の枠から抜きんでたような力を発揮しているとするならば、まだ宝塚の枠内に収まっているような物足りなさがありますが、歌はとても良かったです。前述のパリの幻想で朝夏と歌っている所も良かったですし、ギュンター(望月理世)に追いつめられている件の二人の掛け合いの所は特に、望月も良く声が出ていて、聞いていて涙が出そうな位。今回の新公の一番のヒットポイントだと思いました。
そのギュンターの望月。思い切って濃く、怪しく作っていて、なかなか迫力あって良かったです。

他ではコルベットの嶺輝あやとが、ちゃんと役に求められている通り、ただの父役でない色気ある危険なおじさまになっていて、かっこ良かったです。歌は何となく夏美ように歌い方が似ている気がしたのが面白かったですが、やはり安定感ありますね。蛇の桜一花はダンスのみでもしっかり実力を発揮し、華形、嶺輝、桜と、84期が抜けてもなかなか頼もしい長(の期)だと思いました。

クロック長官の紫峰七海がそんなに上手くはないけれど(^_^;)、長官としての低い声と、イヴェットへのミーハー心をガラリと声を変えて演じたのが面白く、良くウケていましたね。
レオンの仲間では、扇めぐむのダンスが抜群。この人顔はちょっと個性的ですが(^_^;)、他は本当に気持ちよく実力派です。また、アリの日向燦がラスト、レオンにつばを吹きかけていたのもショッキングな演技。彼女はCSで見る素顔よりも、舞台の方が二枚目です(^_^;)。