月組バウホール公演「想夫恋」


月組バウホール公演「想夫恋」、2/7&12に観てきました!

まず、2/7の時点では、主演の北翔海莉の化粧顔が面白すぎて、物語に集中できず(笑)。
今回も児玉作品に期待される通り、装置や照明がキレイ。平安時代の衣装も豪華。舞台には良いムードがただよっているのに・・。
シリアスな場面でも、北翔好きなのに、うっとりしたいのに(^_^;)、笑いをこらえるのに必死でした。

多少のリスクも承知で、その化粧ではおかしいという事を知って欲しくて、ポスターが出た時点で雑談掲示板で話題にしたんですけれどね。
実は色々企んで書いているんですよ、私も。
しかし、誰にも伝わらなかったみたいです・・無念(笑)。

そして、もう今からではダメだろうと、すっかり諦めの気持ちで観た12日の午前の部。
・・神様が舞い降りました(;_;)。
いや、正確には「マシになっていた」程度なのですが。物語をさまたげる程ではなかったです。物語に集中する事ができました。良かったです。

他の観劇した人たちの話を聞くと、観た日によって、化粧のどこがおかしかったか、違うみたいなんですよ。
私が観た火曜日は、目がタレているような・・おたふくさんみたいなのが面白かったのですが(^_^;)。
初日は白すぎたという声が多かったですし、金曜日に観た母は目の下の赤いラインが気になって正視できなかったらしいですし、土曜日に観た友人は鼻たてが白すぎたのが面白かったと言っていました。
・・どうも、毎日舞台で試行錯誤を繰り返していたのではないかと(笑)。
そして、千秋楽日にようやく、落ち着いてきたのではないかと。

まぁ、映像に残る日にマシになって良かったですが、遅いですよね。
北翔も悪いと思いますが、誰か舞台稽古の時にでも、言ってあげるスタッフや上級生はいなかったのでしょうか? 若手の本人がどうにかできなくても、熟練の先輩が沢山いるのが宝塚の良い所なのに。
やっぱり宝塚の日本物は衰退しているのかな~、と、思わずにはいられませんでした。

さて、北翔の藤原知家。そういう訳で、何より化粧が不満でした。
私はビジュアル重視なので。宝塚は美しければ万難隠せると思っているので。
歌声はますます磨きがかかっていましたし、低めの台詞の声にも聞き惚れます。立ち姿もスラリとしていて良かったです。他の生徒が羨む素質と実力があるのに、化粧で印象を悪くするなんて、本当に勿体ないです。

ま、この公演評も企んで書いてますから(笑)。次に北翔に日本物が当たった時には、きっと美しく出てきてくれるだろうと、期待しています。

物語の話ですが、知家役に関しては、あまり共感できませんでした。
女性だからかもしれませんが、ストイックすぎて、小督(城咲あい)が可哀想に思えて。
知家が小督を受け止められないのは、隆房(明日海りお)を手にかけてしまった自分に対する制裁だと、一幕最後に言っているんですね。
演出的には盛り上がって良い場面。でも、共感はできないです。

隆房は知家に「小督をたのむ」と言っているのに。それでも知家は小督を受け入れない。
小督の幸せは、隆房の願いではなかったのか?
素直な良い青年とは言え、隆房にどうしてそこまで義理立てするのか?

しかもラストシーンでは墓前で「俺が殺りたかったんだ」みたいな事まで言うのにはびっくり。
どれだけ愛情を持っているんでしょうか。怪しいではないですか。大体、明日海は可愛らしい男役さんですし。(おいおい)
ここ、触れずに心の中で楽しむべき、児玉先生のサービスなのかもしれませんが(^_^;)。

というのは冗談(?)にしても、演出上は、両親を亡くした自分を、伯父の隆季(磯野千尋)が暖かく育ててくれたから、という説明になりそう。

つまり、知家にとっての気持ちの比重は、
隆季への感謝 > 隆房への友情 > 小督への愛
に見えるんですよね。そう見えるのは物語としてどうなんだろう? とは思います。

他も、平安ものにしては、登場人物の感覚が現代的すぎたり、それゆえ物語がちゃちに見えたり、火事なのに逃げなくて良いんですか? と思う程、深刻な場面をのんびり展開していたり・・というつっこみ所は多いのですが、これも北翔がうっとりさせてくれていたら(^_^;)、私だったら笑って流せる程度でした。

知家が隆季&隆房の親戚ではなく、全くの拾った孤児、という立場であれば、姫である小督との恋は、身分違いだと一生秘めていても説得力あると思います。そうして欲しかったです。

耐えていても、笛を持つ手に表れる溢れる気持ち、みたいなものは良く伝わってきました。
そんなに細かく考えて芝居をするイメージはなかったのですが、今回は何度も涙を流しての熱演で、この部分は北翔にとって大きな成長になるのではないかな、と思いました。

小督の城咲あい。彼女はポスターの写真映りが北翔以上に悪かった気がしたのですが、本番はバッチリ決めてきました。「長い睫にふちどられた大きな瞳」という台詞を意識したメイクなのではないでしょうか。本当にそう見えました。
元気のある、パンチのある役が似合うと思っていましたが、たおやかな美女にもすっかり化けていましたね。
加えて、脚本的にちゃんと気持ちが理解できる役柄の上、それを説得力をもって演じてくれたので、共感して見る事ができました。良かったです。

高倉天皇の青樹泉。出番は少なかったですが、ほんわかした、大らかな雰囲気が役に良く合っていました。
隆房の明日海。素直で明るい坊ちゃん振りで、これも良く似合っていたと思います。

他では徳子の青葉みちるが、声がきれいで、化粧も映え、特に良かったです。
城咲とのやりとりのシーンは見応えがありました。
祐子の麻華りんかはものすごく個性的な雰囲気のある人で、存在が面白いですね。

平清盛の立ともみが、役柄も派手ですが、一人で芝居を盛り上げ、締めてくれた感が(^_^;)。隆季の磯野も優しい人柄が出ていました。
瀧川末子、楠恵華、研ルイス、宝生ルミの上級生陣は手堅い助演。

時実の榎登也は、今まででは考えられない位台詞が多くて嬉しかったですが、声に今にもカマしそうなハラハラ感が・・。しかし、カマさなかっただけ良しとしましょう(^_^;)。
化粧はまぁまぁきれいでした。悪役のせいか良くある「へびのような目」の感じに見えたのですが、意識して描いたのでしょうか?
狭霧の彩央寿音はとても良い役でしたが、まだまだ若くて頼りない。
この役を楠恵華か研ルイスにやってもらえれば、もう少し舞台のグレードは上がったのではないかと思いました。