雪組大劇場公演「霧のミラノ/ワンダーランド」


雪組大劇場公演「霧のミラノ/ワンダーランド」、6/26&7/31の2回観ました!

「霧のミラノ」。柴田先生脚本、中村S先生演出。台詞は確かに柴田先生。つっこみ所は多いけれど、いかにも宝塚な夢々しいドラマ展開(この辺りが中村S先生の責任なのか、柴田先生の不調なせいなのかは良く分からないのですが・・)に、こっぱずかしくなりながらも、「うわ~、宝塚だ~、こういうの好き~♪」と内心、キャピキャピ、くるっくる回りながら(笑)、楽しんでいました。
ラストのお花畑のシーンなども、超恥ずかしい(笑)。「うわ~、クールな朝海ひかるが、好きだ~! なんて言っちゃってるよ~!(@_@)」と思っていたら・・バーン! ええぇぇ~?! みたいな。
ここまでキャピキャピにメルヘンな物語を作っておきながら、何も最後だけシリアスにまとめなくても・・最後までキャピキャピさせてよ・・(^_^;)。
でも、この感想には覚えがあります。つい最近のドラマシティ公演「あの日みた夢に」。甘~い、かっこ良い、宝塚ギャングの話でしたが、ラストが意外にシリアスで、それはそれで良かったと思ったのですが。
この感覚は、中村S先生の特徴なのかな、と思いました。
まぁ、物語を作ったのは柴田先生なんでしょうけれど・・。

ロレンツォの朝海ひかる。ますます充実して頼もしくなっていますね。妖精の雰囲気を保ちつつ、そんな朝海から、貫禄や渋みさえ感じる日が来ようとは・・(^_^;)。
カールハインツ(貴城けい)に見せる仮の顔と、本来の闘士としての顔の切り替えに、もっと凄みと上手さがあれば、よりカールハインツが納得する面白さが出ただろうとは思うのですが・・。もともと朝海の守備範囲ではないよな、とも思います(^_^;)。

フランチェスカの舞風りら。前半に観た時よりも、後半に観た時のほうが、少し声に落ち着きが出て良かったと思います。
しかし、どうしても、20才でミラノ有数の工場を切り盛りしてきた・・という大人の働く女性には見えないですね。純情な宝塚的ヒロインの雰囲気を醸しだしつつ、カジノに行く前には真っ赤な勝負服に着替えるし(^_^;)、なかなかつっこみ所の多い面白ヒロインではあります。

カールハインツのカマかけにあっさり反応し、身を投げ出して「彼を助けて・・」と言う辺り、「それ自分が美人だと分かってやっているでしょう!!」と思うし、もうちょっと(工場を切り盛りする位の)頭の良い人なら、その場はとぼけておいて、後でロレンツォに教えた方が良いんじゃ・・と思うし・・、そもそも、彼女に手を出す気がないのなら、何しに来たんだカールハインツ!! とも思う・・これもお気に入りの面白場面です(^_^;)。

で、貴城のカールハインツ。見事な軍服の似合いっ振りでした。柴田作品だけあって、「仮面のロマネスク」を思い出させるような雰囲気。
物語はまだまだつっこめますが、これくらいにしておきましょう。とりあえず、品良く二枚目だったので、役割としては満足です。
終盤ロレンツォを逃がし、軍服を脱いだ後の見せ場は、小気味よい場面だっただけに、オーストリア軍と見逃した自分に対して大笑いして欲しかった気もしたのですが、そうなるとラストのオーストリアへの愛国心とのつじつまが合わなくなるんですよね・・。

ジャンバティスタの水夏希。彼女の守備範囲内の安心して観られる役でした。
エンマの天勢いづる。大人の女性も意外と良く似合っていて、キレイでした。歌はもう少し声量が欲しいです。

エルコレ・バローネの壮一帆。親しみやすい、優しい持ち味が良く合っていたと思います。
ジルの山科愛も上手くて愛らしい。

クリスチャンの音月桂。・・本人あまり言われたくないだろうけれど、可愛い~。アマンダちゃん(って名前でしたっけ?)になりたい~(笑)。
オットー(凰稀かなめ)とヘルマン(緒月遠麻)も、この2人の並びが好きな私としては、大変おいしかったです。
2人で、「お前言えよ」「お前が言えよ!」ってやっている所など、すごくおいしい(^_^;)。いつまでも見ていたいです。

汝鳥伶、未来優希、愛耀子も安心して観ていられました。
他では、生徒評に挙げた、美穂圭子の歌と存在感。貴船尚の軽みのある演技が光りました。

ショーは久しぶりの石田先生。何せ「TAKE OFF」好きなので、プロローグのお揃いの有村先生衣装、中詰のメドレー、そしてお笑い(笑)、まぁまぁ、好きなパターンです。
今回のプロローグの衣装は、ベージュに赤。印象は、ちょっと地味かな(^_^;)。好きなんですけれどね、こういう衣装は。
朝海がにょきっ(?)と出てくるしくみは、今だに良くわからないです・・。面白い~。

白鯨。なぜバックの男役たちを、あんなにオヤジにさせたんでしょうか・・。ある意味、ノリは雪組らしくて好きですが(^_^;)。
せっかくの少人数口のダンスメンバーに入っているのに・・。別にキレイでも良いではないですか。

砂漠。貴城と銀橋渡りする娘役たち(涼花リサ・晴華みどり・大月さゆ・愛原実花)が可愛い♪
貴城にはもうちょっと彼女たちに絡んで欲しかったですね・・。
本舞台の方は、紺色の軍服の騎兵隊達がかっこ良かったです。

メドレーはまず銀橋渡りする若手5人(柊巴・凰稀かなめ・緒月遠麻・沙央くらま・連城まこと)が、前星組公演の5人組よりもさらに若い~。何となくまだおっかなびっくり感があるけれど(^_^;)、フレッシュで良い。
続いてスターが次々と出てくる王道メドレー、曲も耳馴染みのあるものばかりで聞きやすい。
トランプの衣装も好きです。

ハーレムは例のお笑い場面なのですが・・。お笑いの前までを、もっと徹底して美々しくやって欲しかったです。貴城も得意分野のコスチュームではありますが、もっとキレイに出て欲しかった。衣装のせいもありそうですが。
また、女役の大湖せしるが、とてもキレイですが、本人、男役ならではの色気ある、かっこ良い系を狙って演じていたのが良く分かるんです。力入りすぎの感もあるけれど、それも良いと思います。
しかし、その本人の志向と、ピンクの衣装が合ってません・・。もっと、本人の志向に合った、ダークな色っぽい衣装を着せてあげて欲しかったです。

栄光は徹底したダンス場面ですが、人数不足でもう一つ迫力がないです。

フィナーレのデュエット、男役の群舞はかっこ良くて文句なしでした。
ラストの朝海・貴城・水の並びを見て、この豪華さで雪組を盛り上げようとしたのかな~、と思いましたが、果たしてどうなんでしょうか?
何だか先の見えない不安定さが、余計ファンを盛り下げているような気もするのですが・・。

こうして振り返ってみると、欲を言えば、朝海にこれと言った名場面と言えそうな場面がなかったのが残念。
それでも、やはりダンサーだけあって、いつもショーには一定の満足感は与えてもらえる頼もしさがあります。
エトワールの舞風の歌もなかなか。実力ありますね~。