星組大劇場公演「長崎しぐれ坂/ソウル・オブ・シバ!!」


星組大劇場公演「長崎しぐれ坂/ソウル・オブ・シバ!!」、5/21に観てきました!

まず久しぶりの植田先生の新作「長崎しぐれ坂」。事前の期待よりは悪くもなく・・、でもあんまり面白くもない・・という所。
冒頭の同心らの語る件が分かりにくい上にやたらと長いし、続いて出てくる、轟悠、湖月わたる、檀れい、安蘭けいらクセのある面々が、無宿者やら、岡っ引きやら、芸者やらを思う存分濃~く演じているし、周りの無宿者たちや唐人たちは、訛っていたり片言日本語だったりで、流ちょうに台詞を聞かせてくれないのでイライラするし、何かもうごちゃごちゃして・・クドくて・・胸焼けしそうだ(笑)と思いながら観ていました。

あれだけ濃く感じるのは、すっかり個性の確立されたベテランならではだと思いますし、それ故の面白さもあります。また、実際上手いので見応えもあるのですが、私はあまり宝塚で観たい部類の作品ではないと思いました。

良いなと思ったのはおしま(檀)が「行くか行かまいか」を迷う件。
終盤は「伊佐次(轟)の相手役は卯之助(湖月)ですか?」とならんばかりの度を過ぎた友情が、ちょっと気持ち悪かったです。(あの時代背景にはアリだった物語かもしれないし、原作通りなのかもしれないのですが・・)

轟は最初の日舞や登場の件の親分振りなどは、上手いながらも悠々とし過ぎていて、台詞もクセがあり過ぎて、あまり良いとは思わなかったのですが、李花(万里柚美)との部屋の場面や、水牛(英真なおき)の店の場面、おしまとの場面などは自然にかっこ良かったです。
万里は久しぶりに良い女役でしたが、轟が相手だと学年も感じさせず、キレイでした。

湖月は岡っ引きの衣装が本当に似合ってますね~(^_^;)。台詞も自然で、男らしくて良いです。
なぜそこまで伊佐次を思うようになったのかが良く分からない所が、ちょっぴり変な人に思えてしまう原因で(^_^;)、そこが惜しいと思うのですが・・。
伊佐次もかなりの大悪党らしいのですが、どんな悪い事をしたのか良く分からないんですよね(^_^;)。

檀は、サヨナラにしては比重の軽い役なのが残念でしたが、芸者という役が、この上なく似合っていて、粋でキレイでした。

安蘭は、轟が来るとまるで昔の雪組時代に戻ったかのようで、まだまだ若造に見える所が面白かったです。
囲いを出ちゃう理由が「母恋し」なのがまた可愛い(^_^;)。
銀橋の歌が、とても心地よかったです。

無宿三人組(真飛聖・涼紫央・柚希礼音)はそれぞれすごい格好で(^_^;)、訛っているし、作り過ぎているし、若手の役の割にはあまりかっこ良いとは思えないのが辛い(役のせいですが・・)。しかし、他の、唐人やらその他国人やら通訳やら・・ごちゃごちゃして鬱陶しいけれど(コラコラ)、皆がんばっていました。
立樹遥の館岡も、まっすぐな人柄が良く似合っていました。
新加入の白羽ゆりが、とても可愛かったです。
高央りおのぼらが印象に残る役で、上手でした。和泉屋の立ともみが「本当にこれだけ?」と思ってしまうような控えめな助演でしたが、さすかに良かったです。

ショーは藤井先生。ダンス好きの青年(湖月)が舞神(轟)に認められ、導かれるようにスターになっていく・・というストーリーが、上手く轟+湖月を使ったな~、と思いました。良く出来ていて面白かったです。

湖月は若者が似合いますね~(いや、岡っ引きも似合うけれど・・)。ツナギが爽やか~。後肩のニコニコマークも可愛い(^_^;)。
檀は憧れの大女優、というこれまたハマり役。どの場面も美しかったです。
安蘭は長めの髪が良く似合っていました。芝居でも書きましたが、歌声が本当に心地よい。

他では白羽のウインクが、やや前公演のブレンダちゃんが入っているようなキャラクターでしたが(^_^;)可愛らしい。
金髪で華やかな白羽との対比で、黒髪の陽月華も、その髪型がとても良く似合っていてかっこ良かったです。

また、ロケットの柚希が、場面の意図しているアダルトな色気はあまり感じなかったですが、ヒールを履いてのあれだけのジャンプはすごいです。毎回ダンスで感心させられる人ですが、学年が上がって、スターになってもダンス力が落ちない、むしろ上がっている気がするのが嬉しい。
でも本来、技で圧倒させる場面ではなかったんじゃないかと思うんですけれどね~。柚希が来ると、振付家は何か大技をさせたくなるんでしょうか・・(^_^;)。

場面はどれも捨てがたいですが、中では「タカラヅカ・ドリーム・キングダム」の「ROSE」に引き続き、ANJU先生の黒タキシードの場面がやはり出色。最初にテーブルの間から出てくる真飛、柚希、どちらもかっこ良い。
ファンが何を見たいか心得ておられる所がニクイですね(^_^;)。
また、ラストのデュエットダンスもANJU先生。銀のドレスにトレンチコートのセクシー&かっこ良さが檀らしく、大階段を去る、そして湖月が残る演出も素晴らしく、これも良い場面でした。

この場面の湖月の表情が良いです。何とも言えないのですが・・。
檀は下級生の頃から大好きな娘役さんで、とても縁のあった、沢山の公演を観た娘役さんでもあるので、サヨナラは寂しいですが、この場面が素晴らしくて、良かったと思いました。

また、大好きだったサヨナラの嶺恵斗に、歌のソロの場面がありました。初日は母の話によると緊張していたそうなのですが(^_^;)、私が観た日にはしっかり歌えていて良かったです。
そして何よりも立派でかっこ良かった! 舞台奥センターで毬乃ゆい(彼女も「ロマンチカ宝塚’04」以来、良い歌を歌う歌手だと思う一人です)と歌うシチュエーションが、昔必死で観ていた「ファンシー・タッチ」の姿月あさとと美月亜優のデュエットを思い出させました。

そして、立樹が演じているマフィアのスタンは、汐美真帆がいればいかにも演ってそうな役だと思い(^_^;)、後から出てくる黒エンビのダンサー達を観て、この場面にいればどんなにかっこ良かっただろう、と思ったりもしました。

そんな訳で、切ない、切ない、切な~い、作品でもありました。
観るのが辛い気もします。
でも、特に、嶺のあの勇姿は、TVに映らないかもしれないし(^_^;)、しっかり観ておかなければ、と思います。
藤井先生ありがとう。また一つ、宝物になりそうな作品です。