雪組大劇場公演「ベルサイユのばら」


雪組大劇場公演「ベルサイユのばら」、2/26に観てきました!

主役がフルキャスト出場、とにかく絢爛豪華ですごいものを観たいなら、星組。
ちょっとは物語も気になる、とにかくオスカルが観てみたい! というなら、雪組。
でしょうか。
まぁ、東京の方も、今からどちらを観るか迷っても、チケットが手に入らないでしょうけれど(^_^;)。

私は雪組編の方が良かったです。星組編で台詞のTPOがとんでもない事になっていたので(詳しくは星組ベルばら評をご覧ください)、覚悟して観たのですが、思ったよりマシでした。
しかし、今思うと、今回追加になったロザリーの件が、やっぱりTPO変ですね。
やはり、書けば書く程、変になっていくのでしょう。

ロザリーがオスカルを想っているというのは、良いんですよ。原作にもありますし、その後の幻想場面もアリです。
また、ベルナールと結婚するのも本当です。
ただ、そこの気持ちの流れを無理矢理くっつけてロザリーに語らせるから、「好きでもないベルナールと無理矢理結婚させられる」ように見えます。(もう開き直って、そういう設定にしたのかとも思いますが。)
しかも、結婚後、結構な時間が経っているはずのオスカルのバリ出動前夜に、「愛している」とロザリーに叫ばせ、しかもデュエットまで歌わせる。
しかも、翌日には何事もなかったように、パリでベルナールとも夫婦の会話。
・・あれではベルナールが可哀想すぎます(^_^;)。

後、驚いたのは何と言っても、オスカルのつけていた日記をルルーが盗み読みして、オスカルがフェルゼンを想っている事を家族中が知った、という場面。
説明したかったのは分かるけれど、オスカルに日記はないでしょう~(笑)。
しかもこの場面不要では?
その後、フェルゼンが登場する事もなく、オスカルによってフェルゼンへの恋の苦しさが語られる事もなく、アンドレがそれを知って苦悩する事もないのです。
・・このエピソードを無理矢理入れた意味が全くない(笑)。何の伏線にもなっていないのですから。

と、これだけ書いても、雪組編が良かったと思う理由は、何よりも主役のオスカルが美しかった事。
そして、フランス革命中の軍務にあるオスカルの場面が多かったので、なかなか宝塚のベルばらでは描かれなかった、オスカルのフランスへの愛国心が伝わってきた事です。
アランや衛兵隊士とその家族達の場面は、良くできていたと思います。2001年バージョンではびっくりしたオスカルの子守歌も、本当に母であるシモーヌ(美穂圭子)が歌えば、説得力が増しますね。

そういう訳で、朝海ひかるのオスカル。星組公演に引き続き本当にキレイで良かったです。
「今まででみたオスカルの中で、見た目は一番理想に近いかもしれない」と星組公演評に書きましたが、これからもっと良い作品が来るかもしれませんが、今日の時点では、「オスカルは朝海の代表作だ」と言っても良いと思いました。
原作のオスカルと違うな、と思うのは、フランス革命内において、自分の思想を貫こうとする必死さ、一生懸命さが薄く、クールビューティである所。朝海らしいと思いますが。
ブイエ将軍(一樹千尋)に自分の考えを述べる時など、「言ってやったゼ、ふふ~ん♪」という、ちょっぴり嫌味な感じもする(^_^;)のが、すごく朝海らしいと思いました。

フィナーレナンバーも男役なのか女役なのか分からない、中性的な魅力のまま押していて、それが返って朝海の美しさを際だたせているよう。

後、「人間であればこそ、そんな愛も」の台詞でニッコリ笑い、その後の「愛の巡礼」も笑顔で歌ったのが、すごく印象的でした。
短調で、けっこう重い、苦悩しながら歌うイメージがあったので。
でも、今回のこの歌を歌うシーンには、オスカルはすっかりアンドレの愛に気づいて、気持ちが幸せになっているんですね。だからこれで良いと思うんです。新しい解釈でした。

アンドレの水夏希。一幕は出番が少なく地味に見えるな、と思ったのですが、アンドレの気持ちを丁寧に演じて、死ぬ時には今更ながら涙が出ました(^_^;)。
とても控えめに演じていた気がします。今回のアンドレがそう見える役なのかもしれないですが、オスカルを想っている事は良く分かるけれど、そうやって控えているアンドレ自身があまりかっこ良く見えないのが、アンドレ好きとしては、ちょっと残念。好みの問題かもしれませんが。

特別出演用の役のせいだと思いますが、衛兵隊に囲まれてオスカルピンチ! の場面や、一幕最後でもオスカルは外出中なのに、アンドレはオスカルの側にいないんです。何があっても、役に立たなくても(笑)、いつも側にいるのがアンドレなのに。
今までの場面がその状態なのに、「俺がオスカルを守る。」と一幕ラストにアンドレに延々と語られても、「そんな事言っても、アンドレ置いてきぼりじゃない。本当に大丈夫?」と、つっこみたくなります(^_^;)。
この場面が長いのは、「クレーンペガサス」セッティングの為だと思うんですけれどね(^_^;)。
ちなみに、「クレーンペガサス」は、私的にはOKです!! あそこまで華々しいと楽しい。

これも水だからこそかもしれませんが、目がだんだん悪化している、というのがとても良く分かる演技だったので、ばあや(灯奈美)の「(身分を考えて、これ以上迷惑かけない為にも、)ご主人様にはだまっていておくれ」の件も欲しかった気がしました。
ワインに毒や、今宵一夜や、死ぬ場面は文句なかったです。馬車でお出迎えの場面の白い軍服姿はとてもキレイでした。

ロザリーの舞風りら。上記のように、ロザリー自身が妙な人物になってしまっているのが気の毒(^_^;)。トップ仕様にロザリーを膨らませるなら、鮎ゆうきが演じたバージョンのように、ボリニャック夫人やジャンヌの件を入れれば良いのに、と思いました。
アントワネットでなくロザリー役なのは納得ですが、結構上級生ですし、さすがにキツいという気も・・。
健気な感じは相変わらず良いです。

ジェローデルの貴城けい。オスカルもアンドレも観られなくてごめんなさい~。今回も、以下の雪組若手配役を優先して、このバージョンを取ってしまったんです(苦)。
まぁ、問題なく似合うだろうとは思っていましたが、本当に良く似合っていました。背が高いので、オスカルとのバランスも良いですし、文句なく貴公子ですし。
何故だか常に、首を十度くらいかしげてオスカルを見つめていたのが、気になった位(笑)。
「受け取って下さい。愛の証です。」のかっこ良さときたら! ホレボレしました。やはりこの役も、スターが演じると違いますね。客席の拍手も納得でした。

ベルナールの未来優希。これも上記のように、とっても気の毒な役になっていて可哀想でした。
最初にロザリーと語っている場面の衣装も、豪華すぎて変。
一人で白熱して演説を初めてしまうのがとても未来っぽくて、心の中で大爆笑しました(^_^;)。

アランの音月桂。可愛いのですが、ちっちゃいのですが、今回も見事に悪(ワル)でしたね(^_^;)。
悪役に見えるは言い過ぎだと思いますが、声が太く立派で、荒くれ者の雰囲気はとても良く出ている、男らしいアランでした。見た目と芸風のギャップがたまらない(笑)です。

ルイーズ(天勢いづる)の姉御キャラ、その尻に敷かれる気の良さそうなメルキオール(壮一帆)は、イメージピッタリ(^_^;)。
その他衛兵隊士も美男揃いで、観ていて嬉しい。プロローグのアンドレと白軍服の士官たちもとてもキレイでした。「もうこのまま一時間この場面を続けてくれたら良いのに。」と思いましたよ(^_^;)。

イザベルの晴華みどりがキレイな声で一際目立ちます。また、その兄のオーギュスト(緒月遠麻)が、大きく立派な体格なのに栄養失調で欠場する役設定(笑)といい、目の見えないイザベルに「パリに出動しても大丈夫だよ」といいつつ、顔をそむけて本当はそうは思っていない事を表現! みたいな演技の分かりやすさ(笑)といい、ついつい見てしまいます(^_^;)。

幻想場面で、オスカルかと思ったら、振り返ったら麻愛めぐる! みたいな、「ハズレ~」感ただよう演出に心の中で大爆笑(^_^;)。でも、好きな生徒さんだったので、自分でも思った以上にこれが見納めなのが寂しく、パレードでは彼女の方ばかり見てしまいました。
フランソワ役の方は、手堅く文句なく良かったですが、似合いそうなのでダグー大佐が観たかったですね。
そのダグー大佐の飛鳥裕は、見た目と雰囲気は柄違いな気がしましたが、優しい人柄が出ていて良かったです。マロングラッセの灯奈美も、とうとうこの役を演るか、と思いましたが、上手かったです。

若手抜擢では、ルルーの花夏ゆりんも、多分初認識の子だったと思うのですが、上手でした。